あそこに入れてます

　
実家には、私が物心ついた頃から、

戸棚の奥のほうに、マムシ酒がありまして、

当然ながら、とぐろを巻いてふやけた状態のマムシが沈んでるんだけど、

小さかった私にとっては気味の悪いものでしかなかったため、

できるだけ近寄らないようにしてたのに、

ある日じぃさまに、

「このマムシが入ったビンは何に使うんだ？」

と聞いたところ、

「これは男が困った時に飲むやつだ」

と答えたので、

困った男が飲むんだったら、

困った女（当時私は、大嫌いな野菜を食えとうるさく言われて困ってた）

が飲んでも問題なかろうと、

未就学児にしては機転が利くカツオ的な発想で、

恐る恐る上澄みにストローを差し込んだ瞬間、

外から戻った父親にまんまと見つかり、

しったげ、ごしゃがれ、

反省蔵に閉じ込められた。

以来、マムシのビンはどっかにしまい隠されたままなので、

大きくなっても私が生のマムシ酒を飲むことはできなくなった。

が、こんなところで数十年ぶりにマムシに出会うとは…。

困った男性諸君のみならず、

困っていない老若男女に飲んでいただけるマムシドリンク、

客室冷蔵庫内にサービス品として設置してございます。

どうぞ、ふるってお飲みください。

っつーか、

フルのは、ソコじゃなくってよ。

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ファイト、１クリ！　
とりあえず、飲んどこ。
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